私の王様
「お姉さんは、どうしてる?」
「‥‥絵里ちゃんなら、元気だよ」
そう。
彼女が本当の、彼のお見合い相手。
私の、姉。
きれいで、やさしくて、おしとやかで。
大和撫子を絵に描いたようなひと。
「‥‥申し訳ないと、思ってます」
俯いて、弱く呟く。
目の前の、やたら美形なこの御曹司だって、私のような平々凡々で、今年やっと二十歳を迎えるようなコドモなんかじゃなくて、あの美しい姉とお見合いしたかっただろう。
しかも、お見合いと言ったって、これはお見合いを承諾した時点で結婚を承諾したようなものだ。
―――だからこそ、この男と姉をお見合いさせるわけにはいかなかったのだけど。
「絵里ちゃんの代わりのお見合い相手が私だなんて、申し訳ないと思っています。でも、絵里ちゃんにお見合いさせるわけにはいかなかったの」
だから、ごめんなさい。
俯いたまま、小さく言う私に視線が刺さる。