モテないオトコ
　――二時間後

「この酒も旨いで？
　一口どうや？」

「あ、じゃちょっとだけ貰おうかな」

　俺は、笹山さんから一口、その酒を貰った。

「ほんとだ、美味しい」

「やろー？
　自分次、それ頼みー」

「いや、俺はそろそろ酔ってきました」

「そうなん？
　ウチはまだまだいけるでー」

「笹山さんは自粛してください
　飲みすぎですよ」

「飲み過ぎって、カクテルの10杯くらいどうってことないいでー
　折角のドリンクバーや、じゃんじゃん飲まな損やでー」

「ドリンクバーじゃないです」

「えー？マスター、ここドリンクバーないのー？」

　笹山さんは、マスターに言った。
　マスターは、苦笑いを浮かべて『無いです』と言った。

　あー。
　やっぱ、この人酔ってる。

「そろそろ出ましょう
　やっぱ、貴方は酔っている」

「じゃ、二次会は持内君の部屋で…
　じゃないと、ウチここで暴れる！」

　マスターが、こちらを見て睨んでいる。

「わかった
　二次会は俺の部屋でしましょう」

「わーい」

　笹山さんは、まるで子供のように喜んだ。

「会計お願いします」

　俺は、そう言い席を立った。
　店を出ると、笹山さんは、もう当たり前のようにせがんで来た。

「持内、おんぶ！」

　俺は、しぶしぶ笹山さんの体を背負うことになった。
< 105 / 131 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop