モテないオトコ
 部屋を出たものの、橘さんはどこにいるのだろう……
 地下って言っていたな……
 とりあえず、廊下に出てみた。

 廊下に出るとかすかにお酒の匂いがした。

「なんだろう??」

 俺は、その匂いがする元にゆっくりと近づいた。
 その元に行くと、階段があった。

 俺は、その階段を降りることにした。

 ゴロゴロゴロ……と音を立て何かがつか付いてくる。

「橘さん?」

 俺は、声をかけながら部屋の奥へと歩いて行った。

「はーい……?」

 そこには、頬を赤らめ、ぼんやりとした表情の橘さんがいた。
 辺りにはアルコールの匂いが充満していて、息をするだけでも酔っ払ってしまいそうだった。
 よく見ると、床一面、空になったワインボトルが転がっている。

「これ、まさか全部橘さんが?」

「ちょっと、味見をしているだけですよぉ
 味見をしたのは……
 ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……
 5本だけでふよぉー」

 橘さんが右手を大きく広げる。
 橘さんが、言葉を発するたびに、お酒の匂いが流れてきた。

「う……
 これは、ちょっとやばいかも……」

 俺は、思わず鼻をつまんでしまいそうになった。

「ちょっと飲みすぎですよ……」

「えぇー
 そうでふかぁ??」

 橘さんは、不満そうに口をとがらせながら聞いてきた。
 しかし、目は虚ろ……

「私は、まだまだ平気れふよー」

 ろれつもだんだん、回らなくなっている。

「ちょっと、橘さん水でも飲みましょう
 ほら、肩を貸しますので……」

 これ以上、お酒を飲むのは体には毒だ。
 いや、もうすでに毒になっていると思う。
 俺はとりあえず、橘さんからお酒を離す事を決断した。

「どこに連れて行くんでふか~?」

 橘さんは、俺の手をがっしりと掴む。
 が、立ち上がろうとはしない。

「貴方も御一緒しませんかー?」

「だ、ダメですよ」

 俺は、断固として橘さんから酒を遠ざけようとした。
 しかし、どこにそんな力があるのか、橘さんはガッシリと俺の手をつかんで動こうとしない。

「た、立って下さい……!」

「一緒に飲みまひょうよぉー」

「これ以上は、体に毒ですよ~」

「えぇー
 そうでふかぁ?」

「そうです!」

「そう……」

「じゃ、お姉さんとイイ事しよっか……?」

 俺の頭の回路が停止した。
 イイコト?イイコトってなんだ?
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