モテないオトコ
「まだまだ若いやん」

「笹山さんは、いくつなんですか?」

「レディに歳を聞くんはあまりいいことやないで?」

「そう言えば橘さんに同じことを言われました」

 俺が、そう言うと笹山さんが笑う。

「同じことを繰り返したらアカンやん」

「そうですね……
 だから、俺はダメなんでしょうね」

 笹山さんは、ため息をついて言葉を放つ。

「諦めたら何も出来ひんで?」

 その言葉を聞いた俺は、心の中で溜まっていたものが吐き出る感じで出てしまった。

「俺って、女子にも嫌われてるじゃないですか……
 だから、橘さんに傘を入れてもらったとき……
 メールアドレスを送ってもらったとき……
 デートに誘ってもらったとき……
 凄く嬉しかった。」

笹山さんは、無言で俺の愚痴を聞いてくれた。

「だけど、脊椎が欲しかったのなら、最初から言って欲しかった。
 たぶん、本来医者を通じてやるものだと思うし……
 それで、『提供して欲しい』って言ってくれれば喜んで提供したし……
 有給もいっぱい余っているから、入院したって別に構わない」

 俺は、さらに言葉をつづけた。
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