モテないオトコ
「ほら、貸してみ?」

 笹山さんは、そう言うと俺のスマホをひょいっと取った。

 ひさしぶり^^
 その後、調子どうかな??

「ほら、こうするだけで、えらい感じが変わるやろ?」

「そうですか??」

「ホントはな、絵文字も使うんがええんやけど。
 あんた今まで絵文字とか使ってないやろ?
 絵文字だけでは、思いを伝えるのって難しいやろ?
 せやさかい、アンタはまず顔文字からはじめてみ?」

「あ、はい」

「あと、何かもう一言書いたほうがええよー」

「あと一言って何?」

「それを考えるのは、アンタの仕事や!」

 これ以上の文章なんて書けないよ……
 あ、そだ。
 
 ひさしぶり^^
 元気してますか?
 その後、調子はどうかな?

「美香ちゃん、チョップ!」

 何故か、チョップが飛んできた。

「『元気ですか?』と『調子どうかな?』
 おんなじ意味やん!」

「『今度、機会があったらまた遊びに行こう』
 俺なら、そう入れるね。」

 菊池が横から口を挟んだ。

「でも、どこに住んでるかもわかんないし……」

「後は、『この間は、楽しかったね』とか」

「いっぱいあると思うでー」

 昼休みの1時間。
 俺は、笹山さんと菊池、そして食事を終えた田中さんまで巻き込んでメールの内容を考えた。

 お久しぶり、元気しているかな?
 この間は、楽しかったよ。
 よかったら、また何処かに遊びに行こう

 俺は、メールを送信した。
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