モテないオトコ
「お待たせ」

 笹山さんは、そう言うと俺にコーラの入ったコップを渡してくれた。

「じゃ、とりあえず乾杯」

 何に乾杯?

 俺は、そう思ったがとりあえず乾杯した。

「率直に聞くけど……
 アンタ、恭子に惚れてるやろ?」

「え?あ?え?」

 この人は突然何を……

「顔に書いてあるでー」

「好きかどうかはわからないけど……
 でも、あの人の事を考えると胸が温かくなる気がするんだ。
 変だよね。
 一回しかデートした事がないのに……」

「恋は、ある日突然に……!やで?
 回数なんか関係あらへん」

「そうなのかな?」

「一目惚れってあるやろ?」

「そういうの、疎くてよくわかんないや」

「まだまだお子様やね……」

笹山さんは、そう言うとクスリと笑った。
< 89 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop