俺様上司は、極上の男!?
「ムドラにメールで送っとけ。素材指定の表も忘れずに。ほとんど綿とポリエステルだが、一部シルクシフォンの指定がある」


櫟課長はさらっと言うけれど、こんなデザインどこでお願いしたんだろう。


「課長の知り合いのデザイナーさんですか?」


「そうだ。新人デザイナーってことにしとけ。前回の件で、有名デザイナーにこだわってるのは、こっちだけだってわかった。新人でも問題ないだろう」


「参考までに、どんな方か伺ってもいいですか?」


課長は一瞬言いよどんだ。
それから遠視用の銀フレームのメガネを押し上げ、思い直したように口を開く。


「小野みちえさんといって、……千葉工場の元社員だ。『イカロス』やミサキガワ名称のシューズを多くデザインした女性。3年前、ミサキガワの自社製品縮小の折りに早期退職している」


「そんな方が……。あの、アパレルデザインを……ですか?」


シューズのデザインとウェアのデザインってけして同じじゃないよね。
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