俺様上司は、極上の男!?
「じゃあ、勝手に死ねば?自己中女!裕太が私を呼んだのは、私じゃなくてあんたが好きだからだよ!あんたを失いたくないから、私に頭を下げてんだよ!バーカ!そんな事実にも目ぇつぶって、『ああ!私って可哀想!』って死んでしまえ!覚悟もないのに、人のモンに手ぇ出したことを悔やんで死んでしまえーっ!」


「朋子!死なないでくれ!」


私の横で裕太が真逆のことを叫んだ。
ふと見ればギャラリーは増え、私たちの後ろにはご近所の住人が垣根を成して、事の次第を野次馬している。


「俺が好きなのは朋子だ!つぐみじゃない!俺があんなことを言ったのが悪かったよ!俺たち、始まりは悪かったけど、俺は朋子と結婚したいと思ってる!」


「ほーら、裕太が言ってるわよ!でも朋子は悲劇のお姫様だもんね!勝手に死んで私と裕太に後味悪い一生モノの後悔を与えれば?そーすりゃ、満足でしょ?この最低かまってちゃん女!」


私が言いたい放題怒鳴ると、中でがちゃりという音。
次にバァーンと激しく玄関のドアが開いた。

そこにはお酒と涙で真っ赤な顔した朋子が仁王立ちをしていた。
否、正確には立っているものの、フラフラと上体が揺れている。


「言わせておけば、なんなのよ!私は悲劇のヒロインじゃないっ!」

< 195 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop