俺様上司は、極上の男!?
朋子の瞳が潤み、大粒の涙がこぼれた。


「つぐみちゃんは怒ってもくれなかった」


「え？」


予想外の言葉に私は思わず聞き返す。
怒ってくれなかったって？

あんたは私に怒られたかったの？


「つぐみちゃんは諦めたような顔をしただけだったじゃない。それからは私のこと無視。『あんたが選んだこと』なんて割り切った口調で、私を拒否しただけじゃない！それが死ぬほどつらかった。私は怒ってももらえない。つぐみちゃんの中で、やっぱり私は対等な存在じゃなかったんだって気付いた」


「何、その勝手な言い分」


「つぐみちゃんはいつだってお姉さんぶって……。私は出来損ないの妹みたいな気持ちだった」


少しだけ思い当たる。
朋子はおとなしく、もともと気弱な質だ。
私は友人として、それをフォローしてきたつもりだった。
何かにつけて世話を焼いて、意見を求められれば人生の上級者のように答えた。

でも、それが朋子の自信を奪っていたのだろうか。
< 197 / 284 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop