俺様上司は、極上の男!?
いいや、クヨクヨと悩んでいてもしょうがない。
ともかく急いで渋谷に向かわなきゃ。
素直に話して謝って、それから自分の気持ちを伝えよう。


直通の急行電車に乗れ、思ったよりも早く渋谷に到着する。
時計は20時35分。
地下から階段とエスカレーターを駆け上がり、JRの構内を抜ける。

歩道橋に登り、人を避けながら足早に進む。センターステートビルを目指す私の目に、まさにビルの方向から歩いてくる櫟課長の姿が映った。
ダークカラーのジャケットにチノパンツという私服姿は目に新しいものだったけれど、あの茶色い髪も整った顔立ちも見間違えるはずはない。

私は課長の元に駆け出した。
歩道橋を駆け下り、横断歩道を渡り、櫟課長の前に躍り出る。


「課長!すみませんでした!」


急に現れた私に、櫟課長はかすかに眉を上げた。


「太刀川……」
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