俺様上司は、極上の男!?
昨日言ったこと。
それは、あの優しい告白のことだろうか。
そうに違いない。


「櫟課長……」


どうしてですか?
私が遅刻したからですか?
たった一晩で何が変わっちゃったんですか?


「おまえを待ちながら、少しの間、考えた。こんなことが無ければ、俺は浮かれたままおまえを自分の物にしてしまったかもしれない」


私はそれでいいと思っている。
彼のものになりたいと願っている。

だけど、彼にとってはもう違うのだ。


「俺は……本社に異動してきた時思った。自分は誰も幸せにできないし、資格もない。誰かと親密な関係を築くことは、仕事上であっても、プライベートでもあり得ないだろう。そう思っていた……」


「ど……して」


雑踏の中、私たちは向かい合っている。
近い場所にいるのに、心と心がすでに何万光年も離れてしまっていることが痛々しく感じられた。
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