俺様上司は、極上の男!?
4月半ば、社外でリリさんと打ち合わせを終え帰社した時だ。
玄関フロアで朋子に会った。


「つぐみちゃん、久しぶり」


ちょうど、1階の店舗から階段で上がってきた朋子。鉢合わせとしては、前と同じ状況じゃないか。

朋子とまともに顔を合わせるのは、あの夜以来だから約1ヶ月ぶり。

在庫のスポーツソックスをカゴに入れ抱えた朋子は、幾分落ち着いた様子だった。

私ももうわざとらしく避けもしない。
朋子との関係は清算済みだ。そこははっきりしている。


「店舗に異動になるかもなんて、言ってなかった?」


私は『まだいるの?』というように嫌味っぽく問う。


「ああ、あれね。取り消しになったの」


朋子は何でもなさそうに答えた。それからにこっと笑う。


「妊娠したみたいだから。本社の内勤のままでいいって上司が」


「え!?」
< 237 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop