俺様上司は、極上の男!?
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沈殿していた意識を揺り起こし、うっすらと目を開ける。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
鈍く回転する記憶によると、事務所で貧血を起こした私は、応接室のソファを借りて休ませてもらっていたのだった。
取引先で倒れるなんて有り得ない。自分の身体もコントロールできなくて情けなさ過ぎる。
私は天井の穴の開いた模様を数え、ため息をついた。
眠ったのがよかったのか、眩暈も吐き気も少しラクになってきた。
今は何時だろう。そろそろおいとましないと。
ノックが二回。ドアが開いた。
「太刀川!」
その声に私は驚き、慌てて身体を起こす。
ドアから応接室に入ってきた思わぬ人物は、櫟課長その人だった。
課長は冷たいほどの美貌をしかめ、わずかに息を切らせていた。
後ろから横溝さんが顔を出す。
「ごめんね、太刀川さん。櫟くんに電話したのは僕です」