俺様上司は、極上の男!?

ここに櫟課長を呼んだのは、横溝さんだったのか。
私はあらためて横溝さんに頭を下げた。


「いえ、むしろ申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました」


彼は私に微笑み、櫟課長に向き直って言った。


「櫟くん、詳しい話はともかく、今日のところは太刀川さんを頼むよ」


「横溝さん、うちの部下がご迷惑をおかけしまして申し訳ありません。いずれあらためて、お詫びにあがります」


「それほどのことじゃないから。……太刀川さん、それじゃお大事に。よろしくお願いします」


私の秘密の片棒を担いでいる横溝さんは、優しく微笑むだけで詳細は語らず、私と櫟課長を送り出してくれた。



大手企業の工場群と田畑の間にぽつんとある横溝さんの会社の事務所。
遠く見える森林は手賀沼のほとりだ。

事務所の外に出ると、外は夕暮れ時だった。
オレンジ色に染まる広々とした空が、別世界のような錯覚を起こさせる。

貧血で倒れたおかげで、随分長い時間お邪魔していたようだ。