俺様上司は、極上の男!?
私の言葉はやはり最後まで言えなかった。
その前に櫟課長が私の唇を塞いだからだ。

彼のキスは貪るように情熱的で、そしてあたたかかった。

ゆるゆると唇を離し、課長が整った顔をくしゃっと歪める。
困惑と、照れくささを含んだ表情だ。
頬が赤い。


「俺の負けだ。好きだ、太刀川」


「櫟課長……」


「誰かを幸せにできる自信なんかない。俺は多くの人たちを守れなかった。暗い復讐心だってまだ残っている」


課長が私の髪を撫でる。
以前してくれたように指を巻きつけ、いとおしそうに。


「だけど、おまえを好きな気持ちも止められない。おまえが傍にいてくれたら、俺のどうにもならないブラックホールみたいな感情が昇華できるかもしれない。そんな風に期待してしまうんだ」


我慢していた涙が溢れた。欲しかった言葉に、熱い雫はどんどん零れ落ち、止まらない。
私は情けないほどに泣きながら、再び彼の腕の中に飛び込んだ。
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