俺様上司は、極上の男!?
「まだ、この会社でやることはある。ミサキガワブランドのシューズを復活させる。おまえが頑張っているのを見ると、夢物語でもないのかな、なんて思うよ」


私がかすかに安堵の吐息をつくと、私の頬にぺたりと櫟課長の手のひらが貼りついた。


「無茶する意地っ張りな部下を置いていきたくもないしな」


触られたところから熱くなる。
私は耳まで赤くなりながら、彼の手を頬から引き剥がした。


「他の人に見られると困ります」


「いいだろ」


課長は私が引き剥がした右手で私の左手をぎゅうっと握った。
並んで、手をつないだ格好の私たち。

幸いスタジオの裏手は見学者も取材のカメラもいないけれど、いつレッスン参加者がこちらを向くかわからない。私たちの気付かないところで、室内の鏡に映っていたらどうしよう。

スタジオ内にはリリさんも、レッスンに参加中のメグ子さんも小花もいる。
私たちの関係をまだ誰にも話していないこともそうだけど、仕事中にイチャイチャはまずいでしょ。
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