俺様上司は、極上の男!?
番外編 恋夜
「カンパーイ!」
私と大ジョッキを合わせるのは、決まりきったようにメグ子さんと小花。
ここはいつもの居酒屋『はるちゃん』だ。
大将が出してくれたからあげとおしんこを囲み、生ビールのジョッキをぶつけ合う、まったく普段通りの光景。
しかし、今日はこれから、ちょっと違うことが起こる。
「で、櫟課長はいつ到着するの?」
メグ子さんに言われ、私はスマホをポケットから取り出す。
「えーと、役員会議終わって、もうこっちに向かってるみたいです」
「ってことは、すぐに来るじゃないスか!うーっ、なんか緊張する!」
小花が両肘をクロスしてつかみ、肩をすくめた。
「なんで緊張すんのよ。さっきまで会社で一緒に仕事してたじゃん」
私が変な顔をすると、小花は真剣に返す。
「会社で会うのは『櫟課長』。これから紹介してもらうのは、つぐみセンパイの彼氏の『櫟さん』。この差はでかいんスよ!」
「確かに、改めてつぐみの彼氏として紹介してもらうのは緊張するわぁ」
メグ子さんも苦笑いして、ジョッキに唇をつけた。