俺様上司は、極上の男!?

「自分を裏切ったやつらになんて、死んでも泣き顔なんか見られたくないよなぁ」


櫟課長はいよいよ楽しそうに微笑んで、ソファから私の顔を覗き込んだ。


「いや、おまえには自分を守る権利がある。傷つきたくないから裏切り者を追求しなかったって、そりゃ正しいよ」


「うるさいですよ！櫟課長に関係あります！？」


私は怒鳴るように言って、堪えきれずうつむいた。
嗚咽が喉からせり上がる。


本当は辛かった。
泣きたかった。
怒りをぶちまけたかった。

だけど、そんなことできなかった。

バカみたい、私。
カッコつけて、痛い想いを避けて、泣く場所をなくした。

こんなところで、こんな人に向かって泣いてる……。

フラれた。
裏切られた。
ひとりぼっちになる。


「苦しい……悔しいよ……！もうやだ……」


大好きで味方だと思っていた人たちに裏切られた。
彼らが幸せになるのを私は見守らなければならない。