俺様上司は、極上の男!?
私はデスクから、櫟課長の姿を盗み見る。

課長はいつもどおり、冷たい無表情でパソコンに向かい合っている。
時折、やってくる部下と短く会話したり、指示を出すその姿は、普段と何ひとつ変わらない。


櫟了介。


先々月に異動してきた私の上司。
私以上にヨガが似合わない31歳。

見た目は悪くない。

高い鼻梁、睫毛に縁取られたシャープな瞳、端正な顔立ち。
遠視用の銀フレームの眼鏡がよく似合う。

色素が薄いようで、色白で茶色がかった髪が中性的だ。
彼がもう少し若くて、柔らかく微笑むのなら、王子様キャラとして社内で人気が出たんじゃなかろうか。

しかし、課長はけして目立ったイケメンではない。

実際、彼が本社に異動してきても、女子は誰も噂の端にもあげなかった。
若くして課長待遇という出世コースなのにも関わらずだ。

理由として、彼の醸すオーラが地味で冷えきっているだからだろう。
無表情にも、低いテンションと声にも、物静かで堅物な印象が滲んでいる。

言い方は悪いけど、31歳なのに、すっかり枯れて見える。

私は絶対好きにならないタイプ。
退屈そうで、生真面目そうで。
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