俺様上司は、極上の男!?





5階の第2グループフロアに戻ろうとは思ったけれど、どうにも涙が出そうだった。

メグ子さんは私が泣いていたら、すぐに気付いてしまうだろう。
優しい社内の人たちに、プライベートで泣いているダサすぎる姿を見せたくない。

『仕事中にプライベートで時間を割きたくない』

そんなことを言ったそばから、私は4階の資料室に逃げ込んだ。

案の定、ここは誰もいない。

書架が壁際に並び、各グループの備品置き場がある。どこも荷物だらけ、段ボールだらけ。
第2グループのスペースは私が先週片付けたばかりだから、まだマシだった。

私は書架のひとつに寄りかかった。

ひとりになると、ようやく涙が頬を伝った。


よかったじゃん、別れて。
あーあ、裕太のヤツ、空気読めない系バカ男に成り下がっちゃって。
よかったよかった。
あんなのと流れで結婚してたら、痛い目みたよー?

浮気されて別れたのが、結婚前でホントよかった。
バツが付かずに、次の恋に挑めるじゃん。

< 76 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop