俺様上司は、極上の男!?
自分を励ましながら、何をいまだに泣いているのか、考える。

泣くことない。
バカ男と別れたんだから、喜ぶべきだ。


そこで、私は思い至った。


私が泣いているのは、気付いてしまったからだ。


裕太に会えて、まだこれほど嬉しい自分に気付いてしまったから……。



ああ!私、大バカだ。

あんな男なのに!
私を捨てて、私の親友と付き合った男なのに!

久しぶりに会えた裕太を見て、心の片隅で喜んだ。
そして、裕太が朋子を心配しているのを目の当たりにして、打ちのめされた。


私、バカじゃないの?
裏切り者にいまだに未練たっぷり?

そこまで、情けない女でいいの?

もう、いなくなってしまいたい。
私みたいな間抜けは、この世界から消えてしまえばいい。


書架に額をくっつけ、嗚咽した。
涙が後から後から落ちてくる。

喉が焼けるようで、苦しい。
胸がズタズタにちぎれそう。

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