初めて会う従兄弟は俳優でした。



好きな気持ちは、
壊れて片付け不可能。










やっとわかった。



彼は、私を利用しているんだ。




真っ白な廊下を走るたびに、
思考が追いついてきて


この状況も全て飲み込めた。



考えることも可能になって、


涙は相変わらず止まらないけど、


全てがわかった。





彼は、私を騙したんだって。







青春を送れない彼。


普通じゃない高校生活の彼。




素敵な恋愛をできない彼。




それでも、少しは遊びたい。



そうだよね....
そりゃそうだよ。


私たちのようなファンのために


毎日一生懸命.......


あぁ、毎日か。




辛いな。


私が思っているよりもきっと何倍も何十倍も辛いんだよね....。







.......私はその代役。




青春の代役。





私がモデルになったら、

彼は私と付き合う。


周りのみんなも

彼の勤める事務所モデルなら文句はいけない。



表では、カップル
裏では、従兄弟



そうやって、楽しい高校生活を私を使って楽しむにちがいない。



利用されるんだよ


私が。



憧れの龍斗くんに。




『彼女になってよ』



彼の言葉はきっと、



『君を俺の青春に利用させて』



の、翻訳だと思う。





私と彼は釣り合わない。



そんなのとっくに知っていたから、


彼に告白された時



これは、私の事考えてないって思った。



そう思うしか....他に答えは見つからないもの。




......ごめんなさい。




私はあなたが好きだから。







あなたの利用にはなりたくないけど






好きな人の苦しさは


とても辛いから。

私にとって一番の悲しみだから。








「いねこ!」





また、ひんやりとした手が私の腕を掴む。





「.....付き合って......ください」




振り返ればそこには


憧れの彼がいる。




「ぇ。」




「彼女に....してください。」





......これで、全て。




終わり。




私の恋も。




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