良い子とは呼ばせない
「それで私は写真家になって個展を開くから、そのときは桃ちゃんの個展と合同でやろうね」



「へ?」



私の?個展?何のこと?
まどかの突然の話の展開に私は戸惑った。



「あれ?桃ちゃんも、画家になって個展開くんじゃないの?美術部部長だし、あんなに絵が上手いんだから」



「むむむ、無理だよ!!」


思わず大声を上げてしまい、周りで静かに本を読んでいる生徒達からじろりと睨まれた。
私は声のボリュームを下げて続ける。



「確かに入賞は何度かしたかもしれないけど、私くらいの人はいっぱいいるんだよ」



しかしまどかは、そんなことは興味なさそうに



「でも絵が好きなんでしょう?私、いつも桃ちゃんが授業中ノートに絵を書いてるの知ってるよ」



と言った。



私がまどかを大好きなのは、こういう所から来てるのかもしれない。
< 10 / 80 >

この作品をシェア

pagetop