良い子とは呼ばせない
「あっ、神谷さん!数学の宿題やってる?もし良かったら移させて欲しいんだけど?」


岡田さんが、ふと思い出したかのように、突然切り出した。


このセリフ言うタイミング狙っていたんだろうな、なんて意地悪なことを思いながらも、私は優しく「いいよ」と答える。


「あんたずるいなあー神谷さんが可哀想だわ」


そう言いながら笑う皆。


「まあ減るもんじゃないし!?」


それに乗って調子良く笑う岡田さん。




何だろう。


こういう事をするたびに、私から何かが確実にすり減っていくように感じる――。



少しずつ。

  少しずつ。

    少しずつ。
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