良い子とは呼ばせない
私は教室の2階上にある図書室への階段を登る。
ちょうどそこに、上からクラスメイトの女子3人が楽しそうな笑い声を上げながら下りてきた。


「あれ?神谷さんもう面談終わったの?優等生はさすが早いねー」


私に気が付いてまっさきに声をかけてきたのは、1つ前に面談を終えた岡田さん。

全く悪気のない発言だとか分かっているが、優等生、と呼ばれる度に苦しくなる自分がいる。


曖昧な笑顔を浮かべて(これが一番無難な方法なのだ)、「まどかを探してるんだ。どこかで見なかった?」と話題を変えた。

3人は声を揃えて「今図書室で見たよ」と言うので、「やっぱり……」と呟いて笑顔でお礼を告げて別れた。



「神谷さんも大変だね」



後ろから岡田さん達のひそひそ声が聞こえてくる。



先生やクラスメイトが私達を見る目はたいてい、こんなもの。
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