良い子とは呼ばせない
「まどか、面談始まっちゃうよ。教室前の廊下で待機してなきゃだめじゃん」



図書室の大きな共同机に向かって熱心に何かを読んでいる彼女に、私は後ろから声をかけた。



「あ、桃ちゃん!」



まどかが私を振り返る。
子犬のようなつぶらな瞳をキラキラさせて、まどかは私に満面の笑みを見せた。


「凄く面白い本を読んでいたの!ちょうど桃ちゃんに見せたいなあと思っていたとこ」



最近染めたという髪の毛は、ベリーショートという髪の短さもあって、かなり目立つ明るさだ。
光の当たり具合によっては赤にも見える。


これは先生に目をつけられているだろうな、と頭の片隅で思いながら「なになに?」と覗き込むと、まどかの前に大きな写真が広げられていた。

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