腹黒王子の取扱説明書
その方が、信憑性が増す。

「わかったわ。でも、麗奈はとってもいい子なの。何度も言うけど、本気なら良いし私も応援するわ。でも、遊びの相手にはしないでね」

杏子が俺を真っ直ぐな目で見ながら念を押す。

「もちろんだよ」

俺が微笑むと、杏子はムスッとした表情になった。

「その笑顔が曲者なのよね。いつも笑顔で疲れない?」

「心配してくれるんだね。でもこれが素だから」

俺はわざとクスッと声を出して笑った。

適度に息抜きはしているし、これで問題はない。

俺の処世術だし、今後も変える気はない。

「それで、麗奈の具合は?」

「今朝はもう熱が下がってたよ。まだ寝てたから起こさずに会社に来たけどね」

客室に入った時、麗奈はぐっすり寝ていた。

俺が部屋に入っても、彼女の額に手を触れても、彼女は目を開けなかった。
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