腹黒王子の取扱説明書
10、私への罰 ー 麗奈side
「あら、もう風邪は良いの?」

叔母さんがバーカウンターの椅子に腰掛けながらタバコをふかし、横目でチラリと私に目をやる。

時刻は夜の七時五十分。

今日は私は水色のドレスを着ていた。

私がここで着るドレスは、どれも叔母さんが昔着ていたものだ。

今朝俊の家で目覚めると、身体はちょっとけだるかったけど熱はすっかり下がっていた。

俊はすでに出勤した後だったのか、マンションに彼の気配はなかった。彼がいなくてホッとした。俊と顔を合わせたらきっとまた酷い事を言われたに違いない。

すぐに身支度をして俊の家を出るが、鍵を閉められない事に気づく。

「あの腹黒王子、鍵くらい置いてってよ」

思わず毒づく。

家に閉じ込めて軟禁するわけでもないし、何考えてるんだろう。
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