腹黒王子の取扱説明書
仕方なくコンシェルジュのお兄さんに戸締まりを頼んだけど、多分大丈夫だよね?

泥棒が入ったとしても、私を勝手に家に連れてきた俊が悪い。

コンシェルジュのお兄さんは私の顔を見るなり、何故かタクシーを呼んでくれた。最初は断ったんだけど、タクシー代は俊が払うと聞いて素直に家まで送ってもらった。

俊が払うなら全然構わない。無理矢理連れてきたのは彼だし。

会社には欠勤の連絡を入れ、バイトの時間まで家でずっとベッドで横になっていた。

肉体的にというよりは精神的にかなり疲れていたのかもしれない。

「大丈夫。それより、どうしてあの夜、私と同じ会社の専務がいるのにVIPルームに私を呼んだの?」

あの時呼ばれなければバレなかったかもしれないし、無理矢理俊の秘書にされる事もなかったはずだ。

明日はまた会社に行かなければならないし、仕事の事を考えると頭が痛い。

「素敵な恋が芽生えたら面白いでしょう?」

叔母がタバコの煙をフウーッと吐き出す。
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