腹黒王子の取扱説明書
「…あんたって見かけによらず現実的よね」

「褒め言葉と受け取っておく」

私は悲しげにフッと微笑する。

夢を見てるだけでは生活出来ない。

去年の夏に父が脳溢血で倒れてから、私の生活は一変した。

今の私にはお金がいる。

守らなければいけないものがある。

「結婚なんて……一生無理かもしれないな」

瞳に暗い影を落としながら、私は自嘲気味に呟いた。
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