腹黒王子の取扱説明書
その時、突然非常階段の扉が開いて杏子が現れた。
「麗奈?……総務の寺沢君?」
「あっ、あまり無理するなよ。じゃあな」
寺沢君は杏子の顔を見て足早にこの場を去る。
何か言いかけたけど、何を言いたかったんだろう。
多分、杏子の事が苦手なのかもしれない。
彼女は男性社員には厳しくて有名だ。
顔が綺麗だけに彼女が怒ると際立つ。
「……ずいぶん怖がられたものね」
杏子は目を細めながら苦笑する。
「なかなか戻って来ないから探したわよ。寺沢君と何かあった?それとも……兄と何かあった?」
杏子が私の表情を探るように私の方を見る。
私が黙ったままでいると、彼女は私が手に持っていたトレーを奪い、優しく言った。
「目、腫れてるわよ。まだ顔色も悪いし、医務室にでも行ってきたら?仕事なら大丈夫。今日は専務も社長と午後三時までは同じ予定だし、私がフォローしとくから」
「……ありがと」
私がコクリと頷くと、杏子は優しく微笑んだ。
「麗奈?……総務の寺沢君?」
「あっ、あまり無理するなよ。じゃあな」
寺沢君は杏子の顔を見て足早にこの場を去る。
何か言いかけたけど、何を言いたかったんだろう。
多分、杏子の事が苦手なのかもしれない。
彼女は男性社員には厳しくて有名だ。
顔が綺麗だけに彼女が怒ると際立つ。
「……ずいぶん怖がられたものね」
杏子は目を細めながら苦笑する。
「なかなか戻って来ないから探したわよ。寺沢君と何かあった?それとも……兄と何かあった?」
杏子が私の表情を探るように私の方を見る。
私が黙ったままでいると、彼女は私が手に持っていたトレーを奪い、優しく言った。
「目、腫れてるわよ。まだ顔色も悪いし、医務室にでも行ってきたら?仕事なら大丈夫。今日は専務も社長と午後三時までは同じ予定だし、私がフォローしとくから」
「……ありがと」
私がコクリと頷くと、杏子は優しく微笑んだ。