腹黒王子の取扱説明書
でも、向こうの秘書の姿が画面に映りホッとする。

画面の中の彼女に挨拶してテレビ会議システムの準備完了。

お弁当とペットボトルのお茶と須崎さんから頼まれた資料を会議室の机の上に並べていると、俊と須崎さんが入ってきて私も一緒に席に着いた。

イギリス側のメンバーも揃って会議がスタート。

でも、会議の最中、俊が苦しそうに咳をする。

咳の回数が明らかに増えた。

やっぱり風邪?

俊が気になって会議の内容なんて全然頭に入ってこなかった。

会議が終わると俊が気だるそうに立ち上がる。

顔がちょっと赤い。

「風邪じゃないですか?もう家に帰った方がいいですよ」

「いや、まだ今日の会議の資料まとめないと……」

俊が額を押さえながら辛そうに答える。

「議事録は俺が取ってるし、社長への資料は俺がやっとくから、長谷部は帰れよ。中山さん、こいつ頼むわ。後片付けは俺やっとくし」

須崎さんがニヤニヤしながら私の肩をポンと叩く。
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