腹黒王子の取扱説明書
「……な、何を駄々っ子みたいなこと言ってるんですか!」

「ここで寝ちゃってもいいの?」

俊が意地悪な目で私を見る。

「病人でしょう!早く家に帰りましょうよ。薬飲んでちゃんとベッドで寝ないと、熱出ますよ」

「麗奈の風邪が移ったみたいだ。どう責任とってくれるの?」

「責任……。私にキスなんかするからです。自業自得です!」

「看病してくれないと明日会社休んじゃうけど……」

何を子供みたいな事言ってるんだ。

もう、少しは人の話聞いてよ!

どうしていつも自分のペースで進めていくのよ。

「専務~!」

「俊だよ」

この駄々っ子。

「俊、帰りますよ」

私が俊の名前を呼ぶと、彼が私の手を引っ張って私の身体を引き寄せた。

「ち、ちょっと、病人のくせに何するんですか!」

私は必死に抗議するが、俊は止まらない。
< 165 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop