腹黒王子の取扱説明書
15、父、危篤 ー 麗奈side
俊には咄嗟に嘘をついてしまったけど、あの携帯の着信音は父が入院している病院からだった。
今危篤状態でもう長くはないらしい。
心の準備をしておいて下さいと言われたが、もう私の頭の中では父はとっくに過去の存在だ。
弟の海里には【父さんが危篤】とだけメールをした。
それから、タクシーで家に帰ってシャワーを浴びて着替えをすると、すぐにまた家を出た。
電車に乗っている間、海里から着信が2回あったけど私は出なかった。
電車の中というのもあったけど、電話に出てしまえば海里にいつ病院に行くのかしつこく聞かれるのが嫌だったから。
……今はまだ父の顔は見たくない。
病院に行きたくない。
私は今でも父を憎んでいる。
会社に着き秘書室に入ると、杏子が私を見るなり言った。
「麗奈、顔色悪いわよ。まだ身体辛いんじゃない?大丈夫?」
今危篤状態でもう長くはないらしい。
心の準備をしておいて下さいと言われたが、もう私の頭の中では父はとっくに過去の存在だ。
弟の海里には【父さんが危篤】とだけメールをした。
それから、タクシーで家に帰ってシャワーを浴びて着替えをすると、すぐにまた家を出た。
電車に乗っている間、海里から着信が2回あったけど私は出なかった。
電車の中というのもあったけど、電話に出てしまえば海里にいつ病院に行くのかしつこく聞かれるのが嫌だったから。
……今はまだ父の顔は見たくない。
病院に行きたくない。
私は今でも父を憎んでいる。
会社に着き秘書室に入ると、杏子が私を見るなり言った。
「麗奈、顔色悪いわよ。まだ身体辛いんじゃない?大丈夫?」