腹黒王子の取扱説明書
「おはようございます」

私は少し警戒しながら挨拶を返す。

だが、何がいけないのか俊は首を傾げた。

「それだけ?」

他に何があるの?

「え?あっ、ジュピターの社長はまだいらしてないですけど……」

「ご褒美はないの?」

ご褒美?ただ、フレックス取って医務室行っただけで?

自分のためなのになんで私がご褒美あげなきゃいけないの?

「子供みたいな事言わないで下さい」

私は冷たく突き放す。

「じゃあ、また悪さしようかな?」

俊の目が妖しく光る。

その目を見て早朝のキスを思い出し、私は身の危険を感じて俊のデスクから一歩後ずさった。

「まさか、またキスする気ですか?ここ会社ですよ」

「でも、個室だし俺達しかいないよね」

俊は悪魔のような微笑を浮かべながら、椅子から立ち上がって私に近づくと私の行く手を阻み壁際まで追い詰める。
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