腹黒王子の取扱説明書
私はそっぽを向くが、俊に顎を捕まれ無理矢理目を合わせさせられた。

「俺にこのメールが届いた時点で、もう無関係じゃないんだよ」

「でも……」

「でもじゃない。どんな理由があるにせよ、今行かなきゃ一生後悔する。弟に全部背負わせる気?」

俊が真っ直ぐな眼差しを私に向ける。

彼の言葉を聞いて私の心は揺れた。

海里に全部背負わせるつもりはない。

「……私一人で行けますから、専務は戻って下さい。私も荷物を秘書室に取りに行かないと……」

「そんな時間ないよ。それに、俺も行く。一人だと逃げるでしょ?」

「専務は仕事があるでしょう?」

「須崎に任せたから問題ない」

この場面で須崎さんに任せなくてもいいのに……。

「私一人で本当に大丈夫です。ちゃんと病院に行きますから」

俊の目を見て言うが、彼は首を横に振ると冷たい口調で言った。
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