腹黒王子の取扱説明書
五十半ばなのに髪は黒々としてるし、後ろ姿はたまに俊と間違いそうになる。

いつもニコニコしてるけど、やっぱり俊と同じで結構腹黒いのだろうか?

親子だしね。

俊の腹黒さを知ってからもう穿った見方しかできない。

「麗奈ちゃんを待っていたんだよ。式の事だけどね、来年の六月辺りはどうかな?」

麗奈ちゃん?

社長の呼び掛けに思わず目が点になる。

「……式ですか?何の式典でしょうか?」

うちの会社……来年の六月になんかあった?

私が首を傾げると、社長はハハッと笑った。

「麗奈ちゃんと俊の披露宴だよ」

披露宴?

社長の言葉に絶句する。

あの腹黒王子、社長に何を言ったの?

これは……本当に外堀埋めてる?

「見合いは全部断るし、俊の結婚は諦めていたんだよ。でも、麗奈ちゃんがいてくれて良かった」
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