腹黒王子の取扱説明書
「いくつに見える?もし、外れたらナナちゃんの秘密を一つ教えてもらおうかな」

今度は専務がちょっと意地悪な笑みを浮かべながら質問で返す。

秘密って……。

うっ、いくつだったっけ?

私は唇に人差し指を当てながら考える。

私と杏子が二十六だから……。

「…三十歳?」

専務の反応を確認しようと上目使いに彼を見ると、彼はフッと笑った。

「残念。二十八だよ。じゃあ、ナナちゃんの秘密を教えてもらおうかな」

何を言えばいいか、全然わからない。

出来れば仕事とは全然関係ない話。

「……え~と、中学生の時に、家庭科の授業でパジャマを作ってたら、時間がなくて焦ってミシンで自分の指まで縫っちゃいました」

私の思わぬ告白に、専務がぎょっとした顔になる。
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