腹黒王子の取扱説明書
「そこ重要だからね」

俺は悪戯っぽく微笑む。

「……駄々っ子で……変に心配性ですけど……そんな専務も悪くありませんよ」

……悪くないって……逃げたな。

意地悪く笑って俺は耳に手を当てた。

「聞こえない。素直に好きって認めないと、また俺の印つけちゃうけど。今度はもっと目立つとこにする?」

「うっ……それ卑怯ですよ」

上目遣いに俺を見ながら、麗奈は困惑した表情を見せる。

「俺の性格はもうわかってるよね?早く言わないとつけちゃうよ。五、四、三、二……」

ペロリと下唇を舐めると、俺は麗奈の両肩に手を置く。

「わ、わかりました。言えばいいんでしょう!す、す、素の専務の方が好きです」

「なんか余計なのくっついてるけど……」

「いつもニコニコしてるよりも、そっちの方が自然でいいって話です。会社でもずっと素で過ごせばいいじゃないですか。ストレスも溜まらなくて、健康にも良いですよ」
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