腹黒王子の取扱説明書

「身体の心配もしてくれるんなら、それこそ一緒に住まなきゃって思わない？」

「どうしてそこに帰結するんですか。しつこい男は嫌われますよ」

「麗奈だけに好かれれば他はいらないんだけど」

俺の言葉に麗奈が数秒黙り込んだかと思うと、顔を真っ赤にして耳を塞ぐ。

「……何で照れもせずにそんなセリフが言えるんですか？急にそんな事言うの反則ですよ」

「それで麗奈が俺の事好きになるなら、何度でも言うけど」

「仕事中です」

麗奈が俺を睨み付けて怖い顔をするが、その顔も可愛いって自覚はないんだろうな。

「うん。でも、コミュニケーションは大事だよね」

俺は麗奈の髪をひとふさ手に取ると、チュッと軽く口付ける。

「……毎日口説いて時間を無駄にしないで下さい」

「これでリラックスしてるの」