腹黒王子の取扱説明書
「ジュピターの研究所の部長が挨拶したいんだと」
あともう少しだったのに、タイミング悪すぎ……。
麗奈から離れて、また自席に戻り椅子に座る。
「……いいよ、通して」
フーッと溜め息をつきながら許可すると、メガネをした小太りの男が入ってきて頭を下げた。
「ジュピター開発研究所モバイル器機開発部部長の井澤と申します」
あっ……クラブで麗奈に触ってた中年男じゃないか。
俺と目が合うと、井澤の方も俺に気づいたようでほんの一瞬だが顔をしかめた。
マズイ……。
俺の事はバレてもいいが……麗奈にも気付かれると厄介だ。
チラリと彼女に目をやると、井澤の事を思い出したのか怯えたような目をしていた。
俺は麗奈を井澤の視界から隠すように椅子から立ち上がるとにっこり微笑んで挨拶した。
「専務の長谷部です。合同事業の件、よろしくお願いします」
握手はしない。
こんな奴と握手したら、手が腐る。
あともう少しだったのに、タイミング悪すぎ……。
麗奈から離れて、また自席に戻り椅子に座る。
「……いいよ、通して」
フーッと溜め息をつきながら許可すると、メガネをした小太りの男が入ってきて頭を下げた。
「ジュピター開発研究所モバイル器機開発部部長の井澤と申します」
あっ……クラブで麗奈に触ってた中年男じゃないか。
俺と目が合うと、井澤の方も俺に気づいたようでほんの一瞬だが顔をしかめた。
マズイ……。
俺の事はバレてもいいが……麗奈にも気付かれると厄介だ。
チラリと彼女に目をやると、井澤の事を思い出したのか怯えたような目をしていた。
俺は麗奈を井澤の視界から隠すように椅子から立ち上がるとにっこり微笑んで挨拶した。
「専務の長谷部です。合同事業の件、よろしくお願いします」
握手はしない。
こんな奴と握手したら、手が腐る。