腹黒王子の取扱説明書
アメリカ帰りだとこんな行動も恥ずかしくないの?

「その反応。なんだか新鮮だな。さっきの質問に戻るけど、この仕事あんまり慣れてないよね?」

「…ベテランではないです。不慣れですみません。ドンペリまで頼んで頂いたのに。私より可愛くて話上手な子がたくさんいるんです。きっと、その子達の方が楽しめますよ」

私は立ち上がって部屋を出ようとしたが、専務に強く手を引かれそのまま専務の胸に飛び込んでしまった。

「きゃっ!」

「今日はナナちゃんの話を聞いてるんだ。もっと、ナナちゃんの事教えてくれないかな?」

専務の漆黒の瞳がキラリと光る。

なんだか彼の雰囲気が急に変わった気がする。

これは……どう解釈すればいいの?

やっぱり私の正体バレてる?

叔母さんも専務の事知ってたくせに何考えてるんだか……。

今は外国人のお客さまと談笑してて、こっちの事は見て見ぬ振り。
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