腹黒王子の取扱説明書
須崎と話していても、麗奈の事が気になって仕方がない。

「へいへい」

いつものように須崎は気のない返事をすると、リュックを背負って先に行く。

服装もかなりラフだし、端から見たらバックパッカーみたいだ。

半袖のTシャツにジーパン。

靴もシューズだし、観光客かと突っ込みたくなる。

ちゃんとスーツと革靴持ってきたのだろうか?

とても有能なビジネスマンには見えない。

まあ、須崎の事はいい。

今問題なのは麗奈の事だ。

腕時計を確認すると、時刻は十時を回ったところ。

時差が十四時間だから、日本は深夜十二時か。

電話をかけるには遅い時間だが、あの伊澤に会ったのなら麗奈はきっとまだ眠れずにいるだろう。
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