腹黒王子の取扱説明書
スリーコールで出なければ切るか。

麗奈の番号を呼び出して、電話をかける。

ワンコールもしないうちに、彼女が電話に出た。

『……はい』

「今、ニューヨークに着いた。そっちは変わりない?」

伊澤の件を知っててあえて聞いてみる。

『……はい、特に』

嘘つき。

声に元気がない。

もっと俺を頼ればいいのに……。

「亮からメールがきたよ。あいつに何もされなかった?」

優しい口調で尋ねる。

『……何も』

いつもと違って歯切れが悪い。

何もなかったわけじゃなさそうだ。

「じゃあ、何か言われた?」

数秒沈黙した後、麗奈は口を開いた。
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