腹黒王子の取扱説明書
前田先生は「美人に囲まれて食事出来るんだからいいよ」って言っていつもお金を受け取ってくれない。

杏子が前田先生に近づき何か耳打ちする。

すると、彼はコクリと頷いた。

何だろう?

ひょっとして私の事かな?

前田先生は俊に頼まれて井澤から助けてくれた次の日から私の様子をこうやって見に来てくれる。

冗談を言って和ませてくれたり、ちょっと眠れなかった時は軽めの入眠剤を処方してくれたり……。

杏子と前田先生がいろいろと気にかけてくれてるし私も心強い。

でも、油断は禁物。

俊が日本を経ってから五日目、この日は来客が多くて杏子も美月ちゃんも朝からバタバタしていた。

定時を過ぎても社長や常務の会議や打合せが終わらず、私達は待機状態。
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