腹黒王子の取扱説明書
数秒後には、麗奈がしまったというようなばつの悪い表情になる。

「あっ……あの……その……」

あはは、と麗奈が乾いた笑いを浮かべながらそわそわし出す。

「ふうん。俺の事を考えていて、俺に夢中ね。それって結局どういう事?」

意地悪く微笑み、麗奈の髪を一房つまんでくるくるともてあそぶ。

「それは……」

麗奈が言葉に詰まりながら動揺する。

彼女としては失言だったのだろう。

だが、ここで逃げられては困る。

「言うまで家に帰さないよ」

言っても今日は家には帰さないけどね。

悪魔のような微笑を浮かべ、麗奈の瞳を捕らえる。

「えーとですね。つまり……つまりその……。あっー、やっぱり無理!」

麗奈がブンブンと頭を振る。
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