腹黒王子の取扱説明書
「無理じゃないよ。すごく聞きたいんだけど。言ってよ」

麗奈の耳元で優しく囁く。

「……好きなんです」

麗奈が赤面しながらボソッと呟く。

そんな彼女が愛おしくてたまらない。

だから、今日もちょっといじめてしまう。

「聞こえない。もう一度言ってよ」

「え?もう一度?」

まだ言うの?と言わんばかりの表情で目を丸くしながら麗奈が呟く。

「そう。もう一度」

ゆっくり頷きながら妖艶に微笑むと、それを見た麗奈がゴクリと息をのむ。

数秒の沈黙の後、彼女は意を決したように口を開いた。

「だから、俊が好きなんです!」

ドアの外にも聞こえそうなくらいの大声で麗奈が叫ぶ。

勢いに任せて言ってしまえば楽だと彼女は思ったのだろう。

どうしよう。

可愛すぎて彼女に触れずにはいられない。

彼女からの言葉なら毎日でも聞きたい。
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