腹黒王子の取扱説明書
いつまでこの生活を続ければいいんだろう?

終わりなんてあるのだろうか?

あるとすれば……父が死ぬまで。

父が回復して社会復帰することはまずない。

父は脳溢血を起こした時、庭でゴルフの練習をしていたらしい。

庭で倒れている父を最初に発見したのは、父の愛人だった。

父が倒れるまで、私は父とずっと仲が悪くて実家に帰っていなかった。

父には母が病気で苦しんでいる時も、よそに女の人がいた。

私にはそれが許せなかった。

骨と皮だけのような姿になってしまった父を見ても可哀想だとは思わなかった。

父の愛人は父があんな姿になると、父の前から姿を消した。

ガラス細工のようにもろい関係。

父は愛人には愛されていなかった。

いい気味だって思う。

私は今でも父が憎らしい。
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