腹黒王子の取扱説明書
「……どうしてこうなったの?」

昨日VIPルームで専務の相手をしたのは覚えてる。

それからやけになってリシャールをロックで何杯も飲んで……。

その後……どうなった?

顔から血の気が引いていく。

どうして専務と一緒にいる?

まさか……何かあったって事はないよね?

「いつもあんな風に飲んで、誰かにお持ち帰りされるの?一晩でみんないくら払うのかな?」

専務が蔑むような目で私を見る。

「……違います」

私は唇を噛み締める。

「何が違うの、ナナちゃん?いや、総務の中山麗奈さん。うちの就業規則でアルバイトは禁止って知ってるよね?」

……やっぱりバレてたんだ。

そうだよね。気づかないわけない。

でも、私は枕営業なんてしたことない。

お持ち帰りだって今までされたことなかった。
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