腹黒王子の取扱説明書
でも、私は今度は反撃に出た。

多分、かなり頭に血が上っていたんだと思う。

専務の唇をこれでもかと言うくらい思いきり噛んだ。

殴られても構わないって思った。

「痛っ‼」

専務が私から離れ、自分の唇を押さえる。

彼の唇は血が滲んでいた。

ザマーミロって思った。

「……やってくれるね」

専務が手で血を拭いながら、私をギロッと睨み付ける。

「とんだ腹黒王子ね。あなたなんか地獄にでも落ちればいいのよ」

「君が一緒なら落ちてあげてもいいよ。だが、もう一度言う。杏子には近づくなよ。警告はした」

「私は親友にお金の無心なんかしません!」

私はドアを勢いよく開けると、専務の目の前でバタンと思いきり締めた。
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